私たちを苦しめる病気の種類は数え切れないほどあります。難病や奇病と呼ばれるものもあります。しかし実は病気の原因は一つなのです。それは私たちの生きる仕組みを考えるとよく分かります。
まず、生きているということは何でしょうか。生きているものの特徴とは?
それは体温を持っていることです。私たちの身体は数十兆の細胞で出来ていますが、いくら細胞を集めても体温は発生しませんし、生体にはなりません。生体にあるのは体温、つまり熱気です。これが「気」です。「気」は数十兆の細胞を一体にまとめ、全体として一つの存在に成しています。「気」は全身を周流して全体を一つにまとめているのです。全身を流れる気の道は主に12本あります。この気の流れによって私たちは生かされているのです。気の流れは生命活動の原動力となっています。
流れに異常が生じると「気」が全身に同じように分布されず偏在が起こります。つまり「熱気の偏在」です。温度が高い所と低い所ができるのです。これが病気の主な原因です。
私たちの生きる仕組みが「気の流れ」であることを解明したのが、今からおよそ3500年前に著された「素問・霊枢」という医書です。この医書ではさらに「気の流れ」の動かし方も発見しています。異常になった「気の流れ」を気を操作することで正常な流れに戻していく方法です。それが鍼灸なのです。