写真は私たちがテキストにしている「素問・霊枢」です。
この中には地球上の自然現象の法則、星々の運行の法則、私たちの心身の動きの法則、などがまとめられています。
そしてこれらの法則がみな同じであると言っています。
つまり星の運行と、私たちの生き様が同じ法則で動いていると言っているのです。
*この考え方が発展して、現在の占星術となっています。
「素問・霊枢」は、その法則を「気の流れ」と名付けているのです。
*専門的用語としては、「経絡」とか「経脈」、あるいは「流注」と呼んでいますが、「気の流れ」のことです。
「気の流れ」はとても正確です。
100年後の星の位置や、1000年前の星の位置がきちんと計算できるほど正確です。
同じように、私たちを生かしている「気の流れ」もとても正確です。
だからこの気の流れに異変が起きると、私たちは心や身体に苦しみを感じるのです。
では、私たちの「気の流れ」についてご説明いたします。
六臓六腑を源流としており、主に12本あります。
この流れには、1日に1回全身を1周身するもの、昼25回夜25回周身するもの、約30分で1回周身するものなど幾つかの種類があります。
治療では約30分で1周身するものを使っています。
気の流れは、六臓六腑から流れ始め、手足の指先などから体表に出て来ます。
体表の流れの途中にはツボと呼ばれるポイントが幾つかあります。
そこは気の出入り口で、それぞれ特徴を持っています。
そのツボの特徴をふまえて鍼を刺入することで気を操作出来ます。
これが鍼治療です。
「気の流れ」は、人が生きる生命活動の原動力となっています。
人の生命活動とは、休みなく行われている内臓の活動です。
そしてもっと小さな数十兆と言われる細胞の活動です。
これらは私たちの意識とは関係なく、まるで自然現象のように進められています。
しかしその活動には一定のリズムがあります。
生命活動を維持しているはたらきが「気の流れ」なのです。
私が受け継いだ医学は『素問・霊枢』という古代医学書に残されているものです。
『素問・霊枢』には、医学と同系列に天体の動きの法則や地球の暦なども記されています。
人の身体の仕組みと宇宙運行の仕組みが同時に論じられているのです。
現在の観測技術の発達によって100億年以上前に誕生した星が発見されてきています(宇宙の誕生はおよそ140億年前と言われています)。
つまり宇宙はそんな時からずっと同じ法則で現在に至っているということです。
その宇宙に生まれた人が宇宙の法則によって生かされていると考えることはとても自然なことです。
宇宙を運行させている動きが人もまた生かしているのだと『素問・霊枢』は言っているのです。
宇宙の法則は、想像以上に正確なものです。
そして私たちを生かしている「気の流れ」もまた非常に正確なものです。
この「気の流れ」に異変が生じた時、私たちは違和感を覚えます。
それが症状です。
異変が大きくなればなるほど、症状は重篤になります。
最終的には命を落とす病気となるのです。
だから些細な自覚症状のうちに治してしまうことが大切です。
私は気を操作して症状を取り除く医学を伝承しました。
私が伝承したこの技は、大正天皇の侍医として活躍した今村良庵先生のものであると知らされております。
日本は大和朝廷が続いてきたため、天皇の侍医が初期の医学の技を代々伝えてきたと思われます。
最初に『素問・霊枢』医学が日本に伝えられたのは、允恭天皇の時代414年と言われています。
明治維新によって医学が解剖学を中心とした西洋医学に移行し、医師法が制定されたため、従来の『素問・霊枢』医学は壊滅状態となりました。
この医学は脈診を中心としており、この技術習得には10年ほどかかるため、現代人にはその修行にたえられる者が少なく、後継者はほとんどいなくなっています。